イギリスEU離脱による留学変動

イギリスのEU離脱、いわゆる「ブレグジットの影響が各方面に計り知れない」と新聞などで大きく報道されています。2019年、いよいよ今年に差し迫ったこの時期でも、条件調整が難航しています。

実はこの状況が今後イギリスに留学を予定するヨーロッパ人留学生に影響を及ぼすことが懸念されているのです。この問題は、政治や通商に係わらず、高校、大学、大学院教育の現場にも影響を与える可能性が語られています。

イギリスのメイ首相は2017年1月に移民問題と司法権などのイギリス主権を優先するためにEU離脱への意向を主張しました。EUとの離脱に向けて交渉を幾たびも重ねましたが、EU側とイギリス議会との間の離脱となる条件がまとまりません。調整が難航すると、一切の「合意なき離脱」となりイギリスのみならず、ヨ-ロッパさらには全世界に影響をもたらすといわれています。

実際にイギリスはドイツに次ぐEU主要国であるために、イギリスがEUを離脱することは、ヨーロッパ諸国をはじめとする世界各国にとって驚きでした。イギリスがEU離脱する大きな理由は「移民問題」です。イギリス国内の失業率、社会的経費の負担などの理由からドーバー海峡を渡って押し寄せる移民を食い止めたいとの意見が広がるのは無理からぬところです。

ところで、現在まで、イギリスはEUからの留学生には自国の学生と同じ学費を設定しています。これに対して、日本を含むアジアからの留学生には「インターナショナル・スチユーデント・フィー」として、通常の倍以上の学費を設定しています。

例えば、日本人がロンドン大学に留学するのには約2万ポンド、それに対して英国人とEUからの留学生には8千ポンドですから、この差は歴然です。イギリス大学協会の発表では、「EU離脱後は暫くの間は現在の学費制度を維持するが、英国主権主義の動向に応じて段階的にこの大学学費を引き上げざる得ない可能性がある」との状況から、将来、EUからの大学、大学院留学生が激減することが予想されます。今後、イギリスの高校や大学などの教育機関の動向から目が離せません。