英語外部試験の利用問題

再来年の大学受験から利用が検討されてきた「英語の外部試験」の導入問題。実は、これらの試験の中には留学生が海外の大学へ出願するための専門的な英語試験が含まれています。

留学を志す生徒は、外国の大学や領事館の学生ビザ申請に義務的にこのテストスコアを出さないといけないケースがあります。これらの検定試験は、留学生が対象であることから、留学生ではない日本の高校生が受験するのには難易度が高く、同時に受験料金も割高といえます。

しかし、本日に至って、それらの外部検定試験の導入にストップがかかりました。事の発端は、文科省萩生田大臣の「身の丈受験」の発言です。これらの外部試験であるTOEFLやIELTSなど、外国の英語検定試験主催団体が行うテストの受験料はきわめて高額で、1回の受験代金でパソコンが買えたり、学校によりますが修学旅行代金の半分程度が払える金額になっています。

民間英語試験を受験するにはそもそもお金がかかる。一番安いGTECや英検でも1回の受験料が5000円台、最も高いIELTS(アイエルツ)やTOEFL iBTでは1回約2万5000円~3万円かかる。
そして試験実施会場が限られてしまい、特に地方では試験を受けるために長距離移動が必要だったり、場合によっては宿泊を伴ったりすることが想定され、かねてから経済的状況や地理的状況による不公平が指摘されていた。前提として、国が主導するのではなく民間の団体が普段の営業活動の延長線上に会場を確保したりしなければならず、全国津々浦々で会場を押さえることが難しかった事情がある。民間に丸投げすることのリスクである。
しかも大学入試の成績として使用するために受験ができるのは2回までと決まっているが、経済的に余裕があれば練習として何度も試験を受けることができて、そのほうが有利になるという問題もあった。
それに対して萩生田大臣が「裕福な家庭の子が回数受けて、ウォーミングアップができるみたいなことは、もしかしたらあるかもしれないけれど、そこは、自分の身の丈にあわせて、2回をきちんと選んで勝負して頑張ってもらえば」と発言した。

これらの外部試験の受験料については、裕福な家庭であれば問題なく負担できるとしても、経済的に生活が楽でない家庭はこの金額を支払うことは困難です。この不公平をなくす為には、受験代金の無償化、あるいは奨学金制度の制定や、学校単位での団体受験申し込みにより受験料を誰でもが負担できる金額に抑える必要があります。

教育は機会均等であることが大事です。その部分を踏まえてからこの制度の導入を検討することが最善といえます。通信技術の発達で世界が狭くなり、確かに英語のニーズは高まりました。海外留学をする学生、ワーキングホリデーに参加する方々も増えています。留学時代の到来は、教育機会の平等によってこそ安定的に発展するものだと思います。